〇17番(茂原正秀君) 議長のお許しをいただきましたので、さきに通告しました2件につい
て質問させていただきます。

まず1件目は、適切な管理がなされていない多数の浄化槽についてでございます。去る6月、
市町村型浄化槽整備推進事業についての資料の中で、市内に設置後一度も点検されていない浄化
槽が2,500基あることが示されておりました。一度も点検されていないという表現がどのよ
うな状況を意味しているのかわかりませんが、もしもこの2,500基の浄化槽が全く管理され
ないことで本来の機能を失っているとするなら、環境面や衛生面において深刻な問題が生じてい
ることが考えられます。そこで、この件について質問いたします。この2,500基という数を
当局はいつ把握されたのでしょうか。また、これほど多数の浄化槽が適切に管理されていないの
はどのような原因によるものと当局はお考えなのでしょうか。

続きまして、2件目でございますが、資源ごみの持ち去りを防ぐための条例制定についてでご
ざいます。各地区のごみ集積所に出された資源ごみが持ち去られているというご意見を、私はこ
れまで複数の市民の方々からいただいております。これを防止するためには、条例を制定し、資
源ごみの所有権は市に帰属することを規定すべきと考えますが、当局はこのような条例制定につ
いてどのようにお考えでしょうか。

以上を第1質問といたします。どうぞよろしくお願いいたします。

〇議長(高橋總一郎君) 市長。

(市長 岩井賢太郎君登壇)
〇市長(岩井賢太郎君) それでは、茂原議員さんのご質問に順を追ってお答えを申し上げます。
初めに、適切な管理がなされていない多数の浄化槽につきましてお答えをいたします。生活排
水を処理する設備の1つである浄化槽は、公共用水域等の水質保全等の観点から、し尿及び雑排
水の適切な処理を行い、公共下水道、農業集落排水、コミュニティープラントなどと並んで、生
活環境の保全及び公衆衛生の向上に大きく寄与する施設でございます。そのうち単独浄化槽につ
きましては、トイレの汚水のみの処理でありまして、生活雑排水は未処理のままで放流されてお
りました。このため、公共用水域の水質保全に対して大きな弊害となっているため、平成13年
4月1日から新設が禁止されております。現在単独浄化槽の新設は禁止されておりますが、使用
における規制はないため、多くの浄化槽が設置当時のまま使用されている状況でございます。法
律等により、これらを含めた浄化槽の管理は、当該浄化槽のまず所有者、占有者、その他の者で
当該浄化槽の管理について権限を有する浄化槽管理者が、水質検査、保守点検及び清掃をしなけ
ればならないと定められております。

そこで、1点目の、適切な管理がされていない2,500基の把握の時期についてでございま
すが、数値を知った時期についてはことしの3月ごろでございます。

次に、2点目の、多数の浄化槽が適切に管理されていない原因等につきましてお答えいたしま
す。まず、浄化槽の管理につきましては、条例や要綱により、群馬県知事の管轄となっておりま
す。したがいまして、富岡市では、浄化槽管理の内容を把握していないことをあらかじめ申し上
げておきます。浄化槽の法定検査につきましては、法律により毎年1回受けることが義務づけら
れております。また、平成17年に浄化槽法が改正され、法定検査を受けない場合や保守点検、
清掃が適切に行われていない場合、勧告、改善命令や罰則の規定について、群馬県知事による監
督が強化されております。しかし、これらの規制について実効性がないことなどにより、適切な
管理がされていない浄化槽があること、また、浄化槽管理者の維持管理に対する認識不足や経済
的な要因があるのではないかと考えております。今後の浄化槽の適正な維持管理を図るために、
富岡市におきましても、関係機関と協調して環境の保全に努めてまいりたいと考えております。
次に、資源ごみの持ち去りを防ぐための条例制定についてのご質問にお答えをいたします。茂
原議員さんご指摘の資源ごみとは、主に新聞紙や段ボールの古紙かと思われますが、この資源ご
みは毎週水曜日に市内全域を対象に業者委託により回収をしております。現在古紙等は、業者買
い取りの市況価格が高いことから、平成19年度歳入のリサイクル品売却代金の約24%を占め
ておりまして、平成19年度の回収量は約1,292トンで、売却代金は約957万円でありま
した。また、平成20年度の4月から6月までの4半期合計では、回収量が約327トン、売却
代金として約295万円で、金額は昨年同期を上回っております。このように市民の皆さんにき
ちんと分別をして出していただき、リサイクルをしている中で、資源ごみの持ち去りは、規制こ
そはしておりませんが、不適切な行為と言わざるを得ません。清掃センターにも、7月ごろに市
民の方からの通報が何件かありましたので、職員2名が朝6時半ごろから早出をして、何人かの
方に注意をし、持ち去りを防止するための指導を行っております。しかしながら、このようなこ
とは、時間が経過いたしますとまた起こる可能性があることから、茂原議員さんご指摘のように、
条例で規定し、資源ごみの所有権は市に帰属することを明確にすることも持ち去り防止の手段の
1つではないかと考えております。現在県内で条例を制定している市は、高崎市、桐生市、館林
市の3市でございまして、館林市におきましては、持ち去りが頻繁にあることから、平成19年
4月に条例制定をしたところ、減少したようでございます。本市におきましても、集積場への持
ち去り禁止の張り紙の掲示や広報、ホームページでの啓発を行うとともに、条例の制定につきま
しても検討してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
以上、壇上からの答弁とさせていただきます。

〇議長(高橋總一郎君) 17番。

〇17番(茂原正秀君) ご答弁ありがとうございました。
まず、管理がなされていない浄化槽についてですが、回答を整理しますと、本年3月の時点で
2,500基という数字を把握されていたとのことでした。また、浄化槽の管理については、知
事の管轄であり、富岡市としては浄化槽管理の内容を把握していないともご説明がございまし
た。適切な管理がなされていない2,500基が、トイレの汚水のみを処理する単独浄化槽か、
それとも生活雑排水まで処理する合併浄化槽かはわかりませんが、確実に言えるのは、トイレの
汚水を未処理で流している可能性がある浄化槽が2,500基あるということでございます。こ
れは大変な問題と私は思っております。ごみの不法投棄が法律で禁止され、地域によってはたば
このポイ捨てまで条例で禁止されている昨今、トイレの汚水をそのまま家から外部へ流すという
行為は、環境の面でも、衛生の面でも、さらにモラルの面でも、ごみの不法投棄以上に問題があ
ると私は考えております。

そこで、この点について再質問いたします。まず1つ目ですが、2,500という数字を把握
してから半年ほど過ぎましたが、この間、市民の方々にこの現状を知っていただくため、さらに
は状況の改善のため、富岡市として何らかの対応をとったのでしょうか。

そして、2つ目ですが、浄化槽の管理に問題があると思われる家が多数あるような地域では、
処理されていないし尿がそのまま外へ排水として流されることにより、しばしば地域の排水管が
詰まり、汚水があふれ、大変衛生面でゆゆしき状況に陥ってしまうところもございます。また、
水田に水を引くと、一緒に未処理の汚物も流れ込んでしまうので、何とかしてほしいという切実
なご相談も市民の方からいただいたことがございます。このような問題でお困りの方に対し、市
としてはどのような対応が可能なのでしょうか。

さらに、3番目ですが、多数の浄化槽が適切に管理されていない原因について、当局は、設置
家庭の維持管理に対する認識の不足や経済的な要因と分析されているようですが、私も同じよう
に考えております。前者の浄化槽についての知識を持たず、点検や清掃を怠ってしまった場合な
らば、浄化槽のシステムや不適切な管理が周囲の水質環境に悪影響を与えることをご理解してい
ただければ、その後は適切に管理していただくことが可能と思われます。しかし、後者の経済的
な要因で管理をしていただけない場合は、難しい状況が予想されます。浄化槽のシステムや維持
管理の必要性も理解しているのに、経済的な理由で管理していただけない。その結果、汚水はそ
のまま外へ流され、衛生面、環境面でも、富岡市の公共用水域に大きな悪影響を与える。なのに、
浄化槽は知事の管轄で富岡市には何の権限もないと。大変厳しい条件がそろってしまった問題で
すが、この2,500基の浄化槽に対して当局は今後どのような対応をとるお考えでしょうか。
以上、3点を浄化槽についての再質問といたします。

続きまして、資源ごみの条例制定についてでございますが、この持ち去りについて、当局も私
と同様なご認識を持っておられると理解いたしました。資源ごみの持ち去りは、まだ富岡市では
大きな問題というところまでいってはおりませんが、全国的には条例で無断で持ち去ることを禁
止する自治体が年々増加しております。さらに、この条例につきまして説明を加えさせていただ
きますと、大きく分けると、2つのタイプがあるようでございます。1つ目のタイプは、過料が
ある制裁型の条例で、厳しいところでは、松山市のように、罰金20万円以下の罰則つきで資源
ごみ持ち去りを禁止する自治体もございます。そして、2つ目のタイプは、制裁を設けない、制
裁不在型の条例です。いずれにしましても、資源ごみの所有権は市に帰属すると条例で規定すれ
ば、無断持ち去りは窃盗罪になりますが、規定しなければ、ごみ集積所の資源ごみは富岡市に帰
属するとお考えになったとしても、法的には認められないような場合もあるようです。平成19
年度1,000万円近い売却代金があったそうですが、これは、市民の方々がお忙しい中手間暇
かけて分別していただいたことにより、市に入ってきた貴重なお金でございます。そうした市民
の皆さんの努力を考慮すれば、特定の個人や業者が万一たびたび持ち去っているようなことがあ
るとすると、まさにこれはあってはならない問題であり、確実に防止するための何らかの対応は
必要と私は考えます。ぜひ大きな問題に発展しないうちに、資源ごみの所有権は市に帰属するこ
とを条例で規定していただきたいと思います。こちらにつきましては、要望で終了させていただ
きます。よろしくお願いいたします。

〇議長(高橋總一郎君) 市長。

〇市長(岩井賢太郎君) それでは、茂原議員さんの再質問にお答えをいたします。
初めに、2,500基という数字を把握後の、市民の皆さんへの現状の周知や改善のための対
応につきましてお答えをいたします。先ほど壇上から答弁申し上げましたが、浄化槽の管理につ
きましては、群馬県知事の管轄でございます。富岡市では、これらの情報をいただきましたので、
公共下水道や農業集落排水区域で浄化槽からそれぞれの施設に接続されたにもかかわらず、浄化
槽の廃止手続を行っていないご家庭があるものと想定し、名簿の突き合わせを行っております。
また、指定検査機関である財団法人群馬県環境検査事業団では、市内の約1,000件のご家庭
に通知を発送して、現状調査を行っているとのことでございます。

次に、2点目の、処理されない排水について市としてどのような対応が可能かとのご質問でご
ざいますが、管理が適切に行われていない浄化槽につきまして、管理者である群馬県では、広報
や冊子による啓発以外、具体的な指導を実施しているとの情報は聞き及んでおりません。このた
め、本市といたしましては、県の指導を仰ぎながら、関係団体と協調し、適切な維持管理がされ
ていない浄化槽の解消に向けて、水質環境の改善の立場から環境問題を含めまして、しかるべき
時期に新制度導入を視野に入れながら、全戸を対象に調査を行いたいと考えております。

次に、第3点目の、管理されていない2,500基に対する今後の対応につきましてお答えを
いたします。約2,500基の適切な維持管理がされていない浄化槽につきましては、保守点検
や清掃、法定検査が全くされていないもの、また保守点検、清掃はされているが、法定検査を受
検されないもの等、さまざまな状況があるように聞き及んでおります。市民の皆さんには、適切
な維持管理がされていない浄化槽があり、このことが身近な側溝や地域の環境に大きな影響を与
えていることなどをお知らせしたいと考えております。その方法は、「広報とみおか」での周知
や、富岡市浄化槽整備推進事業の推進を行う中で対処することが最善の方法かと考えておりま
す。今後群馬県や関係機関の指導のもと、適切な維持管理がされていない浄化槽の解消を図る努
力をしてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げまして、再質問の答弁とさ
せていただきます。よろしくお願い申し上げます。

〇議長(高橋總一郎君) 17番。

〇17番(茂原正秀君) 大変ご回答しづらい内容におきましてお答えをいただきまして、あり
がとうございました。
この浄化槽の問題は、管理は県知事の管轄であり、市としては、現行法の中では具体的かつ直
接的な対応をとることができないのが現実でございます。昨年、富岡市は浄化槽整備推進事業を
開始しましたが、適切な管理がなされていない浄化槽の問題も事業開始の理由の1つであると思
っております。しかし、昨年度1年間で、単独浄化槽から市の合併浄化槽に切りかえた方はわず
か9件でございます。これはあくまでも私の推測ですが、市の合併浄化槽にかえるには経済的な
負担も小さくないことから、恐らくこの9件の方は、単独浄化槽を利用していたときも適切な管
理をされていた、意識の高い方々ではないかと思います。このように考えを進めますと、浄化槽
整備推進事業をこれから幾ら進めても、新設の場合を除けば、適切な管理がなされている単独浄
化槽の方が毎年少しずつ市の合併浄化槽に切りかわるだけで、最も周囲の環境に対して大きな負
荷をかけている2,500基の不適切な単独浄化槽は、一向に減らないという懸念が生じます。
浄化槽整備推進事業は、公共用水域の水質保全にもちろん有効であるとは思いますが、まずはこ
の2,500基の浄化槽を、市民の皆さんの意識を高め、確実、適切に管理していただけるよう
にすることこそ、優先順位の高い課題であると私は考えております。市でできることは限られて
おりますが、浄化槽の仕組みや機能、さらには管理がなされていない浄化槽を使うことがどれほ
ど周辺の生活環境を悪化させることになるのかなどを、市民の皆さんにわかりやすく伝えること
からでも早急に始めていただきたいと思います。

要望のみでございますが、以上で私の一般質問を終了いたします。ありがとうございました。